赤い点を30秒間じっと見つめてください。天井を見上げると不思議なことが!

補色01たのしむ
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夏休みの想い出に友達と撮った記念写真。でも、後ろをふと眺めると壁や茂みにたくさんの人の顔が写っている。心霊写真のお馴染みのパターンですが、さすがに最近はテレビで取り上げることもなくなりました。きっと、もうたくさんの人がその原因を知っているからなんでしょう。これは脳が早合点しちゃっているんですよね。逆三角形の形で並んだ三つの点を、脳が無意識のうちに「生き物の顔」として認識してしまう「シミュラクラ現象」が働いていると言われています。

さて、そんな騙されやすい脳で、ちょっと遊んでみませんか。

 

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あり得ない像が!?

下の画像の赤い点を30秒間じっと見つめ、その後視線をゆっくり天井に移してみてください。不思議なことが起こりますよ。

 

補色01

 

 下のように、フルカラーで撮影された女性が見えませんでしたか。もしも見えなかった人は、もう一度、視線を赤い丸に集中してチャレンジしみてください。視線を移す先は、天井でなくてもかまいません。壁でもコピー用紙でも、とにかく白い物を見てください。  

 

補色02 

 

さて、なぜこのような現象が起きるのでしょうか。カラクリを紐解いてみたいと思います。  

 

秘密は「補色」

  これは「補色」という色同士の関係が作用しているんです。 最初にお見せした画像には、画像編集ソフトによってフルカラーの状態から「階調の反転」という操作が行われています。 「階調の反転」とは何でしょう。モニターに映し出される色は光の三原色と同じR赤、G緑、B青で表現され、それぞれ最小値0から最大値255が当てられています。つまりモニターはR赤256×G緑256×B青256で、およそ1677万7000通りの色の表現が可能です。「階調の反転」とは、それぞれの色が持つ値を真逆にすることなんです。 たとえばここに赤い丸があります。R赤、G緑、B青で表現するとR赤の最大値である255です。

G緑とB青は0となっています。

 

階調05

「階調の反転」を行うと、下の画像のようなブルーになります。R赤は255の逆の位置にある0に、またG緑とB青は0の真逆の位置の255となるわけです。2つの画像はこのようにまったく逆の色で表現されているのです。こういう色の関係を「補色」と呼びます。 階調06  

ちなみに中間の色ではどうでしょう。

中間色補色関係 

左右の色のR赤、G緑、B青の値を、それぞれ線上に配置してみるとお分かりいただけるでしょう。色の位置がシンメトリーになっています。もしもフルカラー画像であれば、「階調の反転」はすべての色に対して、この操作が行われるのです。  

 

なぜフルカラーに変化?

  ではなぜ、冒頭の画像は変化して見えるのでしょう。これは人間の脳が「負の残像」を見る働きをするからです。  

《負の残像》(陰性残像、補色残像):ある色をしばらく見続けた後、すぐに白い背景に目を移すとその色と反対の色が見えてくる。左側の赤い丸の中心を十数秒間注視した後、右側の黒点を注視すると赤の残像として青緑が見える。これは色の刺激が網膜に刻みつけられ、その色の刺激に網膜が順応した(弱められた)結果であり、 もとの色と反転した残像を負の残像という。負の残像はもとの色の心理補色である。

▲引用:心理学情報空間ISOP

 

つまり心理的に「補色」を行っているのですね。さらにこんな解説もあります。  

(目の)錐体細胞は、感度は低いが色の判別ができる。錐体細胞にはさらに、青、赤、緑、それぞれの色の光を受容する3種類の細胞がある。

▲引用:「SOLI-SHOP 生物教材製作所」

”赤”をしばらく見つめていると、赤色光を受容する錐体細胞だけが反応し続けて疲労してしまう。そのため、赤を見続けた後すぐに”白”を見ると、他の2つの錐体細胞だけが反応して、”赤”の補色の”青緑”に見える。

▲引用:「SOLI-SHOP 生物教材製作所」

 

先ほどの画像で説明すると赤い丸ばかりを見ていた目は、疲れを癒そうとその補色(反対の色)を見ようと働く。それに引きづられ周囲の色も同じように変換して見ようとする。つまり画像編集ソフトが行う「階調の反転」を無意識のうちに行っていたのです。

 

階調07 

さて、カラクリが分かったところで、もう一度チャレンジしてみてください。あなたの脳は抗いようもなく、いやむしろ以前より従順に「階調の反転」に勤しむようになっているでしょう。人間って、不思議ですね。  

 

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