わからないことがあることをわかっていないこと

投稿日:2016年10月28日 更新日:

 

息子に「君の名は。」は観ないの?と聞くと、同業者がただのミュージックビデオとやゆしてるくらいだから観ないと返ってきました。ちょっとちがうな、と感じ、たくさんの人がいいと思うものには何かしらいいところがあるはず、と言っておきましたが、真意が届いたかな?と数日たったいま、思っています。

 

seawave

 

息子は昔の自分のようです。僕も俗物がきらいでアンチやアウトローを好んでいた。自然と本や映画の好みが偏り、その結果、ある年頃に達したとき自分の料簡の狭さに気付くようになりました。僕は“草原”に立つことの爽快さを失っていた。本当は十五少年漂流記が好きで、ロッキーが好きな男の子だったのに、いつのまにか心地よいだけが取り柄の薄暗い部屋に立ち尽くしていたのです。

日曜美術館が好きでタイミングがあえばチャンネルを合わせます。解説役として登場したある画家が「(他人の絵が)わからないと、何がわからないのか知りたくなる」と話していました。そうなんです。なぜみんな「ただのミュージックビデオ」をいいと思うのか、その事実に謙虚に相対してみることがじつは大切で、その姿勢こそ、自らを開拓し、成長させる第一歩なんですよね。

「君の名は。」はさまざまなところに視点を変えたメッセージが配置された、よくできた映画でした。好きな曲が人生の瞬間瞬間とシンクロするのは誰もが体験していることだし、劇場映画の表現として妥当と感じました。だから食わず嫌いでスルーしてしまうのはもったいないと思ったのです。哲学がないですか? 哲学を掘り起こすのは観客であり読者です。哲学を学びたければ解説書やノウハウ本を読んで知った気になればいい。エンターテインメントは感じ、味わうものです。いや「そのはず」です。

息子はスノッブな連中を追い越せるはずなのに、同じ道端でブスブス固まっている。そこまで言うべきか、いや気付くまで放っておくべきか、お互いいい歳なので少し悩んでいます。

 

※「そらより」ブログをはじめた当初、自分の心の内を吐露するような記事はいかがなものか、と躊躇していました。そこで「今月の言葉」で少しだけ開放しようと考えました。しかしフラストレーションがたまってしまい、7月下旬にその手の記事を連発するハメに。おかげですっきりさせていただきました。そして意外なことによいと言ってくださる方もいたりして、励みとなりました。そういうわけで、もう躊躇なく書く自信がついたいま「今月の言葉」の役目は終わったなと感じています。「今月の言葉」は10月を最後に終了とします。今後は随時、気が向いたらこんなことを書いていきます。ごくごく私的な話で恐縮ですが、おつきあいいただければ、幸いです。

 

 

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