budoudana

隣家の葡萄棚

投稿日:2018年9月9日 更新日:

緑の硬い粒が、やがて深い黒紫色にふくらみ、たわわな逆三角形の房があちこちに垂れ下がる。幼いころに見た葡萄は、とても神秘的で美しいものでした。

僕は秋になると垣根の下にしゃがみ込み、幹の隙間から燐家の葡萄棚をながめていました。

ある日、祖母の目に留まり、何をしているかとたずねられます。理由を話すと、隣家の主人に掛け合い、この子に葡萄棚を見せてほしい、と掛け合ってくれました。

その家には年上のお姉ちゃんがいました。僕とは7~8歳ほど離れていたのでそれまで遊んだことはありません。初めて玄関から座敷に通され、縁側の前にしつらえてある葡萄棚のそばまで案内されました。そして葡萄の房がよく見えるようにと、お姉ちゃんが両手で抱え上げてくれました。

木漏れ日とともに揺れる豊かな緑の葉の下で、白い粉をふいたマットな黒紫色の葡萄が誇らしげに実っている姿は、僕を幸福感で満たしてくれました。

収穫を喜ぶDNAが血を湧き立たせ、天国にあるような興奮を招いたのかもしれません。いや、お姉ちゃんに抱えあげられたのがうれしくて、すっかりのぼせてしまったのでしょう。たしかその葡萄を食べさせてもらったはずなのですが味はすっかり忘れてしまいました。ただ神々しいまでの美しさだけが心に焼き付いています。

秋が始まろうとしています。ああ、あの葡萄棚が懐かしいなあ。

 

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sunnydayfunny

昭和半ば生まれのおじさんです。妻と娘と猫と金魚と東京西部にひっそり暮らしています。息子夫婦に孫娘ちゃんもいます。「くらしとこころにそらより」うるおいを降り注ぐ記事をめざしています。

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