熱唱する小学生たちはみんな彼に憧れていた

投稿日:2018年5月27日 更新日:

Yは小学校低学年からの友人です。彼は快活で、声が大きく、下校時はいつも僕らの先頭を歩いていました。気弱な僕は、1年生のはじめの頃、よくYにいじめられ泣いて帰ったものです。

ある日、めそめそしている姿を見た祖母は「男子が、そんなことでどうする。追いかけて殴り返してこい。おばあちゃんがみててやるから」と言いました。

意を決した僕は走っていき、Yの顔面に拳をくらわしてやりました。鬼の形相で全身をふるわせていると、びっくりしたのでしょう、彼は泣いて走って行きました。

よくある話ですが、それ以来の友人です。

 

goro

 

小学校高学年のある日、僕らは車が激しく往来する国道を下校していました。やっぱり先頭を歩いていたYは大きな声で野口五郎さんの「青いリンゴ」を熱唱しています。マイクをもったつもりの左手を口の前に掲げ、右手を走り来る車に狂おしく投げかけていました。4~5人の男子しかいない集団の全員が、青いリンゴを抱きしめて歌いました。

中学生になった、あれは温かい春のことだったと思います。部活を終えた放課後、通学路の端の草の上に並んで座る男女がいます。よく見るとそれはYで、隣りには僕らもよく知る同級生の女の子がいました。

そこは高台の開けた場所で、遠くに海が見えます。笑いをころして見ていると、Yは女の子の頭をやさしくなではじめました。誰かが「Yっ!」と声を掛けます。あわてて手を引っ込めたのはいいのですが、よほどはずかしかったのか、ふたりとも固まってしまいました。僕らは無言で、いや少しはクッともらしたやつがいたかもしれません、そのすぐ後ろをゆっくり通り過ぎたのでした。

たくさんの先輩が駆け抜けた思春期へと、間もなく僕らも飛び込んでいきました。

 

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sunnydayfunny

昭和半ば生まれのおじさんです。妻と娘と猫と金魚と東京西部にひっそり暮らしています。息子夫婦に孫娘ちゃんもいます。「くらしとこころにそらより」うるおいを降り注ぐ記事をめざしています。

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