草刈りの詩:カラスと亀と桑の実

投稿日:2018年5月23日 更新日:

ウグイスとキジの鳴き声が響き渡る5月の里山へ、休耕田の草刈りに行ってまいりました。

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虫追いカラス

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昔田んぼだった平らで日当たりのよい草原は虫たちの格好の棲み処です。刈払機で端から刈り進んでいくと、草の根元の湿った心地よい楽園はいっきに鋭い陽光にさらされ、コオロギなどが飛び跳ね逃げていきます。

これを狙い、鳥たちが集まってくる。

前日の別の場所での僕の草刈りに味をしめたのか、“レストラン”の最初の客は昨日のカラスでした。

まだ刈り始めというのに、僕のすぐ後ろに舞い降り、歩きながらつぎつぎ虫をついばんでいきます。危害を加える人間ではないというのを昨日一日のつきあいで学んだのでしょう。ときどき首を傾げ顔を確かめてはまた食事に勤しみます。

あまりにひとなつっこいので近くでカメラに収めてやろうと、刈払機のエンジンをかけたままスマホを取り出すと、さすが賢い鳥、ぴょんぴょんと間合いを広げ逃げていきました。見慣れぬ機械にいちおうの警戒心を示したかっこうです。

田んぼの半分を刈り終え、休憩していると別の鳥たちもやってきました。

件のカラス。なぜかセキレイは追い払うのに同類のカラスとは仲よくなわばりを分け合い虫を追っています。パートナーなのか、仲間なのか、それはそれで彼(彼女)のやさしさが垣間見え、ほのぼのさせてくれるのでした。

 

2尾の亀

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この田んぼの奥のそばには小川が流れています。やや湿地となっており、昔から大きな亀が棲んでいるのは知っていました。うっかりすると刈払機の鋭い刃で甲羅を傷つけてしまうので注意が必要です。

今日もそろそろ出てもおかしくないな、と思っていたところで案の定、のそのそ這い出してきました。

あわててスマホを取り出し、写真を取ろうとしましたが、急なことなので操作に手間取ります。亀はのろいから大丈夫と思いながら、なんとスマホを手から落とす始末。そうこうしているうちに隣地の藪に逃げ込まれてしまいました。

せっかくのシャッターチャンスを逃がし、少し残念な気持ちで草刈りを再開すると、なんとほぼ同サイズの亀がまた現れたではありませんか。

ここには2尾の亀が棲んでいたのです。

いままで見つけた亀はじつは2尾のどちらかだったのですね。

この亀は草の間でじっとしています。なんとものんきなやつで、すぐそばに人間が立っているというのにどこうとしません。わざわざつま先で追い立て、刈り終えた草の山に潜り込ませてやりました。

さてさてこちらもパートナーか、あるいは仲間だったのか。

穏やかな時がながれるはずだった逢瀬のたのしみを台無しにしてごめんなさい。でもどちらも傷つけないでよかった。草原にときどき出没する怪物は思うのでした。

 

桑の実のごちそう

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草刈りも終盤、田んぼの端までやってきました。

顔にかかる木の枝にふと目をやるとたくさんの木の実がなっています。そうでした。これは桑。いつもの年は5月初旬に草刈りをするのですが、今年は天候の折り合いがつかず中旬にずれ込みました。そのおかげでちょうど実の熟すタイミングと一致したのです。

木を下から見上げると葉の裏に熟した実がたくさんついています。一粒もいで食べてみると、野趣たっぷりの酸っぱさをたたえながら、それでいてたしかに甘い、あの味が口いっぱいに広がります。美味しい!

桑の実は傷みやすいので、普通ならその場でもいで食べるのがせいいっぱいです。でも都合よく、その日は午後東京の家に戻る予定でした。数時間なら問題ないでしょう。つれあいや娘にもぜひ味あわせてやりたいと思った僕は草刈りを終えると、実家からビニール袋を持ってきます。

いくつになってもこうした“野生のおやつ狩り”は心踊るもの。僕は夢中になって収穫しました。

 

夢のあと

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左が田んぼでもいだ桑の実です。そして右が実家の庭でもいだユスラウメ。

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ジンと炭酸でフルーツポンチをつくってみました。噛んで味わう木の実なので、正直美味しいとまではいきません。でもどうでしょう。このフォトジェニック。

連日の草刈りですっかり日焼けした腕であおると、筋肉痛も忘れる贅沢なのでした。

 

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