年3回の草刈り
秋の好日。土日を使って実家の休耕田の草刈りに行ってきました。
毎年、少なくとも春と夏と秋の3回、伸びた草を刈っておりまして、今回は今年最後の草刈り。もう冬に入るので今刈っておけば春まで草が伸びる心配はありません。ほっと落ち着くための大切なそらよりの恒例行事です。
思い出深い田んぼ
まずは刈る前の様子がこちら。午前中は別の場所を刈っていたので、ここのスタートは午後1時15分くらい。実家でお昼を食べ、30分ほど仮眠を取っての、本日の後半戦です。
この土地の面積はおよそ880㎡。1反が992㎡ですから、ちょっと欠ける広さです。父の代の稲作をやっていた頃は、日当たりが良いため、苗床として使われていました。一家総出、親戚の手を借りての田植えの風景。鍬で黒々とした泥土をすくい畦道に塗って作られた水漏れ防止のためのクロ。刈り取った稲を干すオダ掛けという竹で組んだ物干し。折々のその場の匂いや足の感触など、幼い頃の記憶が今でも鮮明に残っています。
今、黄色い花を咲かせているのはブタクサです。高いもので胸辺りの背丈。秋の代表的なアレルゲンとして知られていますが、春のヒノキに花粉症を発症するそらよりは、こちらにはまったく問題なし。ただしご近所には迷惑をおかけしているかもしれませんね。ごめんなさい。
前回の草刈りから3ヵ月ほど経過していますが、思ったほど伸びてはいませんでした。夏には目の高さまで伸びていましたから、楽な方です。
右手に見える境界杭は隣地のご主人が立てたもの。先代同士で合意の上、位置を決めたようです。後々問題にならないため、こうしたことはとっても大切だと思います。境界をはみ出て柴のようにきれいになっているのは、隣地のご主人が刈ってくださったものです。いつも先を越されてしまうのですが、こちらもはみ出てお礼の刈り返しを欠かしません。
愛用のエンジン刈払機
さて、突然の登場ですが、こちらが我が愛機「Tanaka Sstart TCG27EASP」です。タンク容量は520ml。7割程度の回転率でフルにぶん回すと1時間ちょっと働いてくれます。本当はエンジンに負担が掛かるので確か30分ほどで休ませなくてはならないですが、そんな悠長にやっている余裕はないので無理を承知で働いてもらっています。
父は2台のエンジン刈払機を用意し、母と二人で同時に草刈りをやっていたそうです。母からそう聞きました。古く真っ黒になったその2台はそらより一人が交互に使い回し、昨年とうとう2台とも寿命が付きました(ありがとう合掌)。
そして新しく近所のホームセンターで見つけたのが、この相棒です。エンジンの掛かりがよく、出力を右手のレバーを握りしめる形でホールドできるのが、なかなか使いやすいと感じています。
この日は、頑張って、夕方6時ちょっと前まで、草を刈りました。夏場と違い、もう、5時を過ぎれば辺りは暗くなります。緑色だった草も月明かりの下では白く光るのみ。風に撫でられる草波も、目の前で刈り倒される葉もモノクロに揺れ、異世界の生き物のように不気味に見えます。
いよいよ地と草の判別がつかなくなり、この日は終了。帰り道、犬の散歩で出てきたのでしょうか。きっとご近所さんなのでしょうが、辺りが暗く顔の判別もつかない老婆から「遅くまで、大変だったねえ。ご苦労さん」と声を掛けられました。これこそ我が生まれし故郷。
草刈り2日目
翌日は朝8時頃スタートし、11時半には草刈り完了。このとおりきれいになりました。1人でやって2日間合計でおよそ8時間。こ1反弱をこのペースで仕上げるのが、果たして早いのか、遅いのか分かりませんが、まあまあ予定通りこなせました。(午後にはまた別の場所で2時間、草刈りをしました)
本当はこの数日後、枯れた草を燃やしてしまうとよいのですが、近くに住宅が迫っているので、そう簡単にはできません。野焼きは地球環境にもよろしくないということで、自治体からは原則禁止のお達しが出ています。しかし、これを放っておくとこの隙間から草が伸び、次回の刈り取りの際、枯れた草が歯に絡まって、作業の少なからぬ負担になるのです。
ならば草が生えるままに放っておけばよい、とお考えになる方がいらっしゃるかもしれません。そらよりも本当はそうしたいのですが、事はそう簡単にはいきません。草を刈っているから、表向き農地として認められているのであり、荒らしておけば雑種地として評価され、固定資産税が跳ね上がってしまうのです。道路に面しているの評価ランクも相対的に高く、そうなったら目も当てられません。しかも枯草に火が付き、近隣の住宅に燃え移ったりすれば過失物。農業のできない者が相続する農地とは何か。根の深い問題がこの狭い土地にも横たわっています。
田の中ほどに生えた桑の木に赤く色づいたカラスウリが揺れていました。畦道側には祖父か、その前の代の人が植えたであろう親木があります。小さな木陰が作られ、農作業の合間に父たちがその下でお茶をしていたものでした。この木は、親木の実を小鳥が食べ、その種が、ここに根付いたのか、あるいは地下茎がここまで伸びたのか、刈り取らずにおいたらここまで太く育ちました。
緑を乱暴に刈り取るウォーターシップダウンの悪者の、せめてもの罪滅ぼしかな、なんて思っています。
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