受益者負担金が残っていることが
地目が田や畑の土地でも市街化区域内であれば農家以外の方に宅地として譲渡できます。この際、見落としがちなのが下水道受益者負担金です。管轄する市区町村によっては田や畑の特例として前の所有者(所有者と受益者が異なることも)に半額の徴収で済ませているケースがあるからです。
また市街化調整区域内でも同負担金は発生し、地目がすでに宅地であっても分割支払いの途中のケースもあります。
負担金の有無を必ずチェック
該当する土地に対して負担金の支払いは1回のみです。旧受益者がすでに全額支払っていれば、新受益者に負担金は生じません。
相続した土地などは履歴がわかりにくいことがあります。徴収猶予を認めている市区町村では数年に一度申請書の提出を求めていることも。関係する書類が見つからない場合は管轄する市区町村に問い合わせましょう。
また自分で徴収猶予を申請していても忘れてしまうことがあります。土地を売るときは必ず下水道受益者負担金の有無をチェックしましょう。
譲渡契約で明らかに
下水道受益者負担金の有無について、有るとすれば残金を誰が負担するのか(一般的には買主)、売主は土地の譲渡契約書に明記しておきましょう。買主はあらかじめ仲介業者にその旨問い合わせておくとよいでしょう。
受益者に変更が生じるなら「下水道事業受益者負担金受益者変更届」に旧受益者および新受益者が記名・捺印し、管轄する市区町村に提出する必要があります。
下水道受益者負担金って何?
所有する土地の近くに公共下水道の下水ますが設置されると土地の利便性が上がります。その恩恵に対して所有者(受益者)は設置費用を公平に負担しましょう、というのが下水道受益者負担金の制度です。
なお国土交通省のホームページでは以下のように「制度の考え方」を明示しています。
下水道事業により公共下水道が整備されると
その整備により特定の地域について環境が改善され,未整備地区に比べて利便性・ 快適性が著しく向上すること
結果として、当該地域の資産価値を増加させる
加えて、当該利益を受ける者の範囲が明確であること
等の理由から受益者負担金制度が採用されています。
出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部
詳細は各市区町村の条例で定めることになっています。
負担金額はどれくらい?
土地の面積(平方メートル)に各市区町村で定める所定の単位負担金額を乗じたものとなります。
国土交通省では
平成7年度受益者負担金制度新規採用都市における
平均受益者負担金額は431円/平方メートル
出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部
としています。
ネットでざっと調べると単位負担金額は200円台から400円台などとまちまちです。同市区町村内であってもエリアによって異なることがあるので詳細が知りたい方は直接問い合わせてみるとよいでしょう。
仮に100坪の土地で単位負担金額が431円とすると
100坪×約3.3平方メートル/坪×431円=約14万2230円
徴収額が半額残っている場合は新受益者に約7万1000円の負担が生じることがあります。
買主の方が新築設備を千円単位で節約しても、土地で思わぬ出費となっては元も子もありません。細かいところですが、ぜひ注意しておきたいポイントです。
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