50対1を守らないとどうなるか?
新規に購入した50対1の草刈機の最初の使用時に、間違って25対1の混合燃料を入れてしまいました。因果関係は不明ですが、エンジンが掛かりません。
この記事ではその顛末と50対1の正しい混合燃料の作り方についてシェアします。
草刈機修理の仕事をされているというやまだ様より「農機具などで使用する範囲では50:1の混合燃料がないときは25:1でも使用可能」というコメントを頂戴しました。
そこで取扱説明書を精読すると
25対1の草刈機は25~50対1の混合燃料に対応。
50対1の草刈機はとくにそうした記述はなし。
僕の所有する50:1の草刈機はやはり50対1の混合燃料でなければならないようです。この記事を参考にする前に、まずはお手元の草刈機の取扱説明書で必要な混合燃料のタイプを必ずご確認ください。
エンジンが掛からないので、どうしたか?
混合燃料の比率を間違ったため始動しないと考えた僕はつぎの操作を行いました。
1.チョークを開閉し、プライマリポンプを押し、スタータグリップ(始動のひも)を引くという作業を繰り返しました。
2.25対1の混合燃料をおよそ50対1になるように目分量でガソリンを加え薄めてみました。
3.30回ほど1を繰り返し、その後20分ほど時間を空けたところ一発で始動し、1タンク440ミリリットル分の草刈りを終了。
4.続けて2回目の始動を試みましたが、何度やっても掛からなくなりました。
5.点火プラグの掃除、交換も無駄でした。
6.正しい50対1の混合燃料に入れ替え、始動を試みましたが掛かりません。
7.販売店にメーカー修理を依頼した結果、キャブレターの交換となりました。
故障の本当の原因
コントをくださったやまだ様によると「症状を見た限りではチョーク引きすぎで燃料がエンジンに入りすぎた可能性もあり」とのこと。
僕も振り返るとまさにそれが原因ではないかと考えます。
前項の「1」の操作をとにかく繰り返しました。その際、チョークの開閉とプライマリボタン、スタータグリップのタイミングを間違え、燃料が過供給になったことは十分考えられます。とにかく焦っていましたからね。
取扱説明書を再読してみると確かに「チョークレバーを『閉』の位置にしたままスタータグリップを引き続けると、燃料を吸い込み過ぎてエンジンが始動しにくく」なると明記されていました。
これをやってしまった可能性が大であります。
さらに燃料が過剰な状態のまま放置(1週間以上)したことにより、キャブレター詰まりが発生したのでしょう。
なお農機具のキャブレターの仕組みやメンテナンスなどに関してはこちらのブログでていねいに解説されています。
リンク:農機具通販専門サイトアグリズ
50対1の正しい混合燃料の作り方
ここで50対1の正しい混合燃料の作り方をおさらいしておきます。
今回新規購入した「ECHO刈払機EGT260DX」の取扱説明書にはこう書かれています。
まず「ポリミックスをつかってレギュラーガソリンと、2サイクルエンジンオイルを混合した混合燃料をつくります」とあります。ポリミックスとはいわゆるポリタンクのことです。
つまり用意するのはこの三つ。
ポリタンク
ガソリンとエンジンオイルを混合するための専用のポリタンクを用意します。ホームセンタではおもに2リットル用や5リットル用が販売されています。
混合用ポリタンクを使用せず、計量カップで作成することも可能ですが、携行や短期保管を考えるとやはり専用のものを用意しておくことをおススメします。ちなみにガソリン2リットルに対しエンジンオイル40mlで50対1の混合燃料が作成できます。
レギュラーガソリン
ガソリンを購入するには金属製のガソリンタンクが必要です。僕はペンキで赤く塗られた20リットルのものを使っています。1シーズンの草刈りで6リットル弱を使用、それを年間3シーズン行うので年間18リットルを使用します。
セルフ式ガソリンスタンドでは持ち込んだガソリンタンクへの給油は禁止されています。近くの有人のガソリンスタンドを探しておく必要があります。また有人のガソリンスタントでも金属のガソリンタンクでなければ安全のため給油してくれません。さらに有人のガソリンスタンドの場合、日曜日が休業となっているケースがあります。ご注意ください。
2サイクルエンジンオイル
前述の取扱説明書の赤枠の部分にご注目ください。
「※ECHO純正2サイクル専用オイルか、JASO性能分類FC、FDグレードの2サイクルエンジンオイルを使用」とあります。「ECHO純正2サイクル専用オイル」とはこの草刈機メーカーの専用オイルということです。ではもう一つの指定オイルである「JASO性能分類FC、FDグレード」とは何でしょう。
僕は偶然二つの2サイクルエンジンオイルを保有していました。
どちらも「2サイクルエンジンオイル」と記載されています。
しかし裏面を確認すると
[1] FC
[2] FB
と記されてます。
つまりこの草刈機に使用する50対1の混合燃料を作成するには[1]が好ましく、[2]は不適格であることがわかります。
今回の不具合で使用したエンジンオイルは[1]FCでした。作成した混合燃料は適正なものであったことが確認できます。
現在一般に市販されている2サイクルエンジンオイルはFBからFC、FDの順に高品質になっています。高品質とはおもに「低排煙」「高潤滑性」「高清浄性」を指しており、エンジンの調子、寿命を大きく左右するものとされています。
2サイクルエンジンオイルの購入には「グレード」にとくに注意して選ぶ必要があります。
こちらで紹介した2サイクルエンジンオイルはAmazonでも購入可能です
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なおやまだ様は「『50:1専用オイル』を正規の50:1濃度で混ぜたものが50:1の混合燃料」とお教えくださいました。ホームセンターで調べてみると確かに「50:1~100:1に対応した2サイクルエンジンオイル」が販売されていました。
また上の画像の背景にあるように「25~50対1に対応した混合燃料」も販売されています。
どれを選べばよいのかややこしいところですが、まずは取扱説明書の記述を優先させれば間違いないと思います。
混合燃料25対1の草刈機
僕はもう1台草刈機を保有しています。こちらは混合燃料25対1のものです。念のため取扱説明書を確認すると
市販ガソリンを使用される場合は、
25~50:1(無鉛ガソリン:2サイクル専用オイル※)の割合で混合
※JASO規格 FC級オイル
とありました。
引用中の「無鉛ガソリン」はいわゆるレギュラー、ハイオクどちらのガソリンも含みます。
この草刈機の場合、これまで25対1の混合燃料しか使用できないと思い込んでいましたが、じつは50対1でもよいことがわかりました。
つまり50対1の混合燃料さえ用意しておけば手持ち2台のどちらにも使用できるのです。
25対1と50対1の両方を用意するなんて面倒と思っている方は、ぜひ一度取扱説明書をチェックしてみてください。
混合燃料の作り方
【1】 混合用ポリタンクは二つの槽に分かれており、「大」がガソリン用、「小」がエンジンオイル用(ポケット)となっています。それぞれにガソリン投入用とオイル投入用の口が設けられています。表面、あるいは裏面に「25:1」「50:1」などの表記があるので、確認の上、たとえば2リットルの混合燃料を作るなら、ガソリンの「2」の数字、オイルの「2」の数字に合わせ、それぞれ注入します。
専用のポリタンクがない場合
「25:1」の混合燃料はガソリン4リットルに対しエンジンオイル160mlで作れます。
「50:1」の混合燃料はガソリン4リットルに対しエンジンオイル80mlで作れます。
ガソリンの量を25あるいは50で割ればエンジンンオイルの分量が割り出せます。
【2】 ポリタンクの二つの口のそれぞれのキャップがしっかりしまっていることを確認し、タンクを横や逆さにし、オイル側のポケットがきれいに洗い流され、色が均一になるまで、ガソリンとオイルをよく混ぜ合わせます。
まとめ
以上「草刈機(刈払機)の燃料混合比50対1を守らないとどうなるか?どうしたか?」でした。
・混合燃料比を間違えてもあわてず、取扱説明書を再読し、正しい混合燃料と入れ替え、正しく始動すればエンジンは始動します。
・正しい混合燃料を作るには指定された基準の2サイクルエンジンオイルを使用することが大切です。
重要なのはこの2点。ご参考にしていただければ幸いです。
専門家の知見からコメントをくださいましたやまだ様には御礼申し上げます。ありがとうございました。
コメント
ガソリンが古くて劣化していた可能性はありませんか?
通常ガソリンの消費期限は保管環境にもよりますが約3~6か月と言われています。
またオイルと混合したものは更に劣化が早くなるそうですよ。
コメントありがとうございます。
ガソリンは20リットルのスチール缶で保存しています。
およそ1シーズン(4~11月)で使い切ります。
混合燃料をオフシーズンを挟みポリタンクに保存することはありません。
シーズンのはじめだったので、
ご指摘いただいた件は、今回クリアできていると思います。
貴重な情報、ありがとうございました。
追記します。
結局、ガソリンの劣化及び混合燃料の劣化における
可燃成分の揮発と同様のことが
オイル濃度の高い燃料で再現されてしまったと考えております。
それゆえのキャブレターの不具合ではないでしょうか。
少々気になったので投稿させていただきます。
草刈機の修理をしている者です。
この記事を読ませていただいた限りでは「25:1専用オイル」を50:1に近い濃度で使われているように思うのですが、エンジンが焼きつく可能性が高いので、必ず「50:1専用オイル」を正規の50:1濃度で混ぜたものが50:1の混合燃料です。従来の25:1の混合燃料との違いは、排気の煙が少なかったり煤がたまりにくいなどですが、ぶっちゃけ「混合燃料」(農機具などで使用する範囲の物)は50:1の混合燃料がないときは25:1でも使用可能です。
要は「50:1専用オイル」は「25:1専用オイル」の2倍の濃度と思ったほうが理解しやすいと思います。
(実際は煙が少ないとか機械の調子が悪くなりにくいなどの違いはありますが・・・。)
ですので、本件の場合は「混合燃料とは呼べないほどオイルの薄い燃料」になっていると思われます。
50:1の配合を本件のようにを間違えて修理することもあるのですが、世の中には100:1などもあるので、あれで間違えるとほぼガソリンのみになるので高確率でエンジンが焼きつきます。
ガソリンだけでもエンジンは始動するはずですが(高回転でまわすと焼きつく)、なぜ始動しなかったかは謎ですが・・・。症状を見た限りではチョーク引きすぎで燃料がエンジンに入りすぎた可能性もあり。
新しい機械なのですぐには焼きつかないと思いますが、良い刈払機とお見受けしますので、きちんと配合した「混合燃料」の使用をお勧めします。
説明下手&長文失礼しました。
コメントありがとうございます。
専門家の方のご意見大変参考になりました。
僕は普段2サイクルエンジン用オイルとレギュラーガソリンで25:1の混合燃料を作成しており、それをそのまま50:1用の機械に使用してしまいました。これが問題となることは稀ということですね。
なぜなら50:1用の専用オイルが別途存在し、それは2倍の濃度であるため、正規に作成した50:1の混合燃料は、25:1のものとオイル濃度的には変わらないと理解しました。
間違った情報を流布してしまい大変申し訳ありませんでした。お恥ずかしい限りです。
今後ともご指摘ご指導いただければ幸いです。本当にありがとうございました。
返信ありがとうございます。
拙い文章でしたがご理解いただきありがとうございます!
仰るとおりの理解で問題ないと思います。
厳密に言えば正規の50:1の混合燃料が煤がたまりにくかったりと、クリーンな作業ができるようですが、今お使いになられている正規の25:1の混合燃料で故障することはほぼ無いと思います。
あと、おそらく気をつけておられるとは思いますが、エアフィルターはまめに掃除をすることをお勧めします。
これから暑い時期になりますが、熱中症には気をつけて草刈ライフをエンジョイしてください!
ていねいなご説明ありがとうございます。
長年草刈り作業に向かいながら
50:1燃料機は初めてでした。
濃度2倍の専用のオイルが存在するとは知りませんでした。
誤った知識で多くの方にご迷惑をお掛けしましたこと
本当にお恥ずかしい限りです。
やまださまのご指摘がなければ、
ずっと垂れ流すことになったでしょう。
お目にとめていただき本当にありがとうございました。
本記事の間違いを正すため
やまださまのコメントを大幅に引用させていただきました。
重ねて御礼申し上げます。