焼けて白くなってしまった木製ブラインド
2018年の夏は記録的な猛暑でした。その灼熱はわが家の20年物の古い木製ブラインドからすっかり生気を奪い取ってしまいました。
購入当初は落ち着いた渋いこげ茶色だったのですが、今は打ち捨てられた廃墟で雨ざらしになった古い木材のようです。
掃除をし、せっかくホコリを取ったのに、ちっともピカピカになりません。
さて、かつての艶を取り戻すには、どうしたらよいものか? しっとりしたのが好みなので安っぽく光ってしまうラッカーは論外です。
木製品には植物系油で
一般に木材の艶出しには植物から採取された油を用いることが多いようです。
たとえばオイル仕上げのカトラリーの艶出しに
亜麻仁油、クルミ油、荏胡麻油、オリーブ油など
出典:「手づくりする木の器」西川栄明著 誠文堂新光社:手入れやかんたんな修理の仕方
がよいとされています。
そのほか「椿油」「柿渋」なども木材の艶出し材料として有名ですね。
建築系では「桐油(*1)」というものも用いるそうです。
(*1)出典:究建築研究室―木材に塗る油について
ただこれらはちょっとお値段が張りそうです。もっと手ごろなものはないでしょうか。
そこで思い出したのがわが家のサラダボウルです。それは木の器づくりを手掛ける作家・須田二郎氏のもので、彼は「作品の仕上げにサラダ油を用いている(*2)」ということでした。
(*2)出典:「手づくりする木の器」西川栄明著 誠文堂新光社
実物もしっとりしていて美しい木肌が目に優しい。しかもサラダ油だったら、手ごろな価格で手に入ります。
ニオイや変色は大丈夫なの?
カトラリーや櫛などと異なり、木製ブラインドは日光にさらされます。サラダ油がそれに耐えられるのか? わがつれあいはニオイや変色が心配と訴えます。
ただこれらについては正直「やってみないとわからない」。
僕の判断は
ニオイ:どんな油もニオイはするもの。シンナーやホルムアルデヒドが出るわけではないので、多少の臭さはガマンしてもらうことにしました。→その後2日目の状況:覚悟したのをがっかりするほどニオイがしません!
変色:理想は酸化しにくい「椿油」ですが、建築に用いる植物性油のいくつかには「黄変」が見られるものもあるようです。一方酸化が進んだサラダ油はやや茶色。むしろ望む方向の変色なので気にならないはず、と説得しました。→その後2日目の状況:もちろんまだ変色は見られません。
いずれも相当無理がありますが、とにかくつれあいにはOKをいただきました。
キッチンでお馴染みのサラダ油を購入
というわけで、近所のスーパーからお手頃価格のサラダ油を購入してきました。
原材料はナタネ油100%。1リットルで税込み232円でした。気を使い「におい少ない!」タイプをチョイス。干からびた木製ブラインドに「天然ビタミンEたっぷり」がきっとよいはずとなぜか親心も発動です。
やわらかい布にしみこませ
トレーにサラダ油を適量注ぎ、やわらかい木綿(Tシャツ)のボロ切れにしみこませ、羽の1枚1枚に手で塗っていきます。
もちろんこの直前にフローリングワイパーの乾燥シートを使い、手で1枚1枚ほこりを拭っています。
どれだけ効果があるのか、試したら歴然でした。
塗りのポイントは油をつけすぎないこと。布を油でしめらせ、それを伸ばしていきます。ブラインドの羽に油が浮いていたら、それは塗りすぎです。
1枚の半分を塗り終えた状況がこれ。見事によみがえっています。ちなみに左の乾燥した部分に左手指の油がついていますが、これは上から塗れば消えてしまいます。塗ったそばからどんどん油がしみこみ色が濃くなっていきます。そのため後から塗った部分との接合部に色違いが生じるように見えますが、これも数十分経つうちにしみこみ具合が並び、違いがわからなくなってきます。
全部塗り終えたら、仕上げに乾いたやわらかい布でざっとカラ拭きします。ちょっと塗りすぎてしまった部分もカラ拭きによって均一になじみます。
サラダ油を塗った翌朝の木製ブラインド。誇らしげに窓を飾っています。
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