今年も春恒例の休耕田の草刈りがスタート。1日90分から120分かけ3日間、ようやく1枚目の田を刈り終えました。
例年カメや青大将に遭遇し驚かされますが、今回は初めての珍客が訪れました。
午前9時ごろから残りの3分の1を刈りはじめ、勢いもよろしくその半分まで来たところで、何か異様なものが目に留まりました。
枯れ草が丸く織り込まれ、何かの巣のようです。目を凝らすとドジョウのように青黒く動く背が見える。まさか草地の土の上にドジョウではないだろうとすぐ打ち消しますが、さて代わりに想像できる生き物がいない。
恐る恐るかぶさった草を除けると、どうやら動物の赤ちゃんのようです。
耳を澄ませば「チー、チー」という鳴き声が聞こえる。さらに観察しているとヒゲと前歯、足の爪のようなものが見えました。
ネズミです!
青黒く見えたのはまだ家が生えていないから。よく見るとお腹を合わせた形で2匹、巣のなかに固まっています。
さてどうしたものかと悩みましたが、とりあえずできることは葉を被せ赤ちゃんを冷やさないようにしてやること。刈った草をまとめ庇のように乗せてあげることで雨除けにしてあげることくらいでした。
もしかしたら親ネズミはこの巣を放棄してしまうかと思うと、少しこころが沈みます。
高校生の頃「ウォーターシップダウンのうさぎたち」という小説を読み、自然を破壊する開発業者を恨みましたが、いままさにその破壊者側として金属の刃を振り回した自分がいたことに、とっくに踏み出したはずの大人の階段がなんだか後ろめたく思えるのでした。
さっきまで2サイクルの草刈機のエンジン音に紛れ大声で歌っていた僕はもういません。
黙ったまますべて刈り終えると、さっき見つけた子ネズミの巣を振り返ることもなく、静かにその場を離れることしかできませんでした。
刈り取った草を雨除けの庇として被せるのはこの動画の後に実行しました。できることはそれくらいでした。