漱石が愛した柏もち?なるほど旨い根津神社そばの和菓子店「一炉庵」

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あんこが好きです。

つれあいはつぶあんがよいと申しますが、僕は断然こしあん派です。豆をつぶし、こした、さらさらの粒状感を舌と喉で堪能するのが好み。当然味はさっぱり目がよい。水あめの混ざったテラテラしたものは喉越しも味も不粋でいけません。

生家では大きな鍋に粉末の小豆粉と砂糖をドバッと投入し、火にかけた溶岩のようなあんこを祖母がぐりぐりかき混ぜていました。小皿を持ちながら袖を引っ張るとしゃもじでたっぷりよそってくれます。僕はそれを後生大事に指ですくって舐めるのでした。

さて、そんな甘党野郎に、つれあいが柏もちを買ってきてくれました。じつは4月5日は僕の誕生日。お祝いに好物の魚肉ソーセージの天ぷらを作ってくれたのですが、あいにくデザートはありません、ということで翌6日の仕切り直しとなった次第です。

 

ぬくもりを感じる包み

外出先で雰囲気の良いお店があったので買い求めた、ともったいぶりながら手渡されたのがこの包みです。

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扇型の窓から見えるのは、ひなびた囲炉裏。そして自在鉤にかかる「一炉庵」の文字。窓の外にたのしげに漂う緑のひょうたん型は和菓子の象徴でしょうか。丸みが手作りのやさしさを表現して絶妙です。

視線はおのずと扇の要にいざなわれ、この店の口上に触れることに。「創業明治三十六年 御菓子司 一炉庵」。今年創業115年を数える老舗です。

※「御菓子司」の称号が気になり調べてみたら公的に特別な意味を持つとされているようですが、お店側が言及していないため根拠は不明です。

老舗の心意気が頑固に守られている証の素朴な絵柄。最近は広告代理店が介入し、グラフィックデザイナーによってドレスアップされる“名店”をよく見かけますが、魂を売っているようで僕の好みではありません。時代に迎合しない姿に好感度アップです。

 

小ざっぱりが粋

さっそく包みを開くと登場したのは白い紙箱。四つの柏もちがきれいに収まっていました。シンプルなお品書きが1枚添えられ、どれがどの味かわかるようになっています。当店のおススメなどは一切なし。情報は買ったものだけ。包みを開けてすがすがしい和菓子です。

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今回は僕の好きな白餅・こしあん2個とつれあいが好きな草餅・つぶあん2個のチョイス。お品書きにある薄紅餅・みそあんは午後1時半にも関わらず残念ながら売り切れだったそうです。

「本日中にお召し上がり下さい」の但し書きは、そういえば包装にもありました。保存料不使用の証でしょう。素材のやさしさが期待できます。

 

美しいフォルム

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どのお店が作っても柏もちは柏もち。あんこの入った餅をただ柏の葉で包むだけ。でもこの計算されたフォルムの美しさはどうでしょう。きっと厳選されたよいものを仕入れているのです。しなやかでキメの細かい柏の葉が赤子の肌のよう。葉を開くとつるつるの餅がぷるんとあります。職人の手のひらのぬくもりを想起させる丸み。器にのせてその気高さが匂いたちます。

 

粒が光る白いあんこ

ひと口かじると、このあんこ。

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肉厚のもちの中に現れたのは白みを帯びたあん。そうそうこれこれ。こされたあんの粒がしっかり際立っている証拠です。見ただけでそのつぶつぶが確認できる。水っぽくないから光らずマットな見た目なのです。

味は期待通り、甘さ控え目。しつこくないから小豆の素材の繊細な味の奥行きまで堪能できます。

餅は逆に水気があり、やわらかく、つきたてのよう。柏の葉の香りが移り、春の喜びに包まれます。

あんこと餅と柏の葉の香り。絶妙な三位一体に100年の熟練を感じます。

 

吾輩は甘党である

「一炉庵」のある場所は根津。近くには夏目漱石の旧居跡があります。

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調べると「一炉庵」は大の甘党であった夏目漱石のひいきの菓子処だったとか。旧居跡ではあの有名な出世作を執筆していたようです。

イギリスから帰国後の明治36年から3年間住んだ。
この間、東京大学英文科・第一高等学校の講師として活躍する一方、処女作『我輩は猫である』を執筆し、この旧居は作品の舞台となった。
『倫敦塔』『坊ちゃん』『草枕』等を次々に発表したところでもある。

出典:文京区ホームページ

春の陽気に包まれた午後。講義を終えた漱石が小説の構想を練りながらの帰り路。柏もちを求め「一炉庵」に立ち寄ったということもあったかもしれませんね。

 

根津神社つつじまつりのお帰りに

また近くには根津神社があります。毎年4月初旬から1ヵ月間、つつじまつりが開かれます。

お花見とセットでぜひ「一炉庵」をお訪ねいただければと思います。

「一炉庵」は通販は行っていません。このお店に行かなければ味わえない品です。

もちろん品ぞろえは柏もちだけではありません。むしろ柏もちだけを取り上げた僕が変わり者。シンプルなつくりのホームページをのぞくと、バラエティ豊かな上生菓子がそろっているようです。

近年忘れられがちな季節感を大切にして、一年を二十四節にくぎり、一節(約二週間)15~20種類、年間400種類の上生菓子を取りそろえております。

出典:一炉庵ホームページ

ぜひ一度、お買い求めを。その上出来はご紹介した柏もちに推して知るベし、です。

 

創業明治三十六年 御菓子司 一炉庵
〒113-0023 東京都文京区向丘2丁目14-9
電話:03-3823-1365
営業時間:9時00分~18時00分
定休日:火曜日
※販売は店舗のみ

 

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sunnydayfunny

昭和半ば生まれのおじさんです。妻と娘と猫と金魚と東京西部にひっそり暮らしています。息子夫婦に孫娘ちゃんもいます。「くらしとこころにそらより」うるおいを降り注ぐ記事をめざしています。

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