サバ缶、とくに水煮タイプが品薄です。
今回は異常気象によるサバの不漁と健康・美容効果による人気、そこに地震による全国的な非常食ニーズが加わったことが原因のようです。
さらに今後はサバ漁に強力なライバルが参入する見込み。
そらよりブログではそんなサバ缶の品薄事情を掘り下げます。
日本のサバ漁に強力なライバルが
まず本日入ったニュースをご紹介します。
時事通信社によると日本のサバ漁場にEU勢が参入する見込みです。
EU、サバ漁参入へ=日本の漁獲量に影響も―北太平洋
EUの漁業者は、サバ漁を北欧沿岸などで行っているが、太平洋ではしていない。南太平洋にトロール船を出してアジ漁をしており、アジの漁期以外も船を活用するため、北太平洋でのサバ漁を始めたい考えだという。
出典:JIJI.COM 時事通信社(Yahoo!ニュース)2018年10月17日
同ニュースによれば、EUの参入希望は認められる見込みとのことです。
日本のサバ漁の漁場は
(脂肪含有率の多い順に)北海道沖→八戸沖→三陸沖→常磐沖→銚子沖→伊豆沖となる。九州沿岸で水揚げされるサバは、冬が旬であり俗に「寒サバ」とも称する。真鯖の漁場が韓国の済州島辺りになってきている。
出典:ウィキペディア
EUの北太平洋漁場への参入は、日本の近海に及ぶことは必至で脅威となることは間違いないとみられます。
異常気象によるサバの不漁
もともとサバは漁獲量が激減した過去を持っています。
水産庁によると、サバの主要魚種であるマサバの日本近海の生息数は、78年に約140万トンだったが、乱獲などで90年以降は10万トン前後に激減。その後、日本が漁獲量を抑制したことが奏功し、2016年は約72万トンにまで回復している。
日本のマサバの漁獲量は加盟国中トップで、17年は34万5000トンだった。
出典:JIJI.COM 時事通信社(Yahoo!ニュース)2018年10月17日
前述のEUの参入で“激減”が繰り返されることもあり得ます。日本の漁獲量は全世界のおよそ半分を占めておりその影響は大きいと言えるでしょう。
また、いったん回復傾向にあったサバの漁獲量ですが、今年は異常気象が暗い影を落としています。
漁業情報サービスセンターによると、全国的にサバ漁が伸び悩んでいる。資源状態は悪くないが、今年は海水温が高いことからサバが暖かい水を嫌い、漁場に現れていないのだという。
出典:テレ朝news(2018年10月16日)
海水温の上昇は長期間の観測データにも表れています。気象庁によると
日本近海における、2017年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.11℃/100年です。 この上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率(+0.54℃/100年)よりも大きく、日本の気温の上昇率(+1.19℃/100年)と同程度の値です。
海水温の上昇でサバが漁場に現れない現象は、今後いつ発生してもおかしくないのかもしれません。
2010年代で過去に2回あったサバ缶の品薄
サバ缶が極度に品薄になったのは今回が初めてではなく2010年代に入ってから2回記録しています。
ひとつは2011年の東日本大震災の津波による影響です。
缶詰の工場が東北の海岸部に多く、東日本大震災で被災してまだ
充分に復旧していないことと、原料の鯖(冷凍)が同じく被災して大量に失われてしまい(冷蔵庫が通電せずに腐った、津波で流された)充分回復していないことです。
またひとつは2013年7月放送されたテレビの情報番組による影響でした。
7月末、テレビの情報番組でサバ缶にダイエット効果があると放送されたのをきっかけに売り切れが続出した。サバは昨年秋の漁が振るわず缶詰製品の在庫が低水準。供給が追いつかないのが実情だ。
残念ながら番組名は特定できませんでしたが、これでサバ缶の人気に火がついたようです。
健康によいサバ缶
サバ缶はDHAやカルシウム、ビタミンB12を多く含み健康によいとされています。
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マルハニチロによるとDHAは
「中性脂肪、コレステロールの低下効果」に加え、「アトピーやアレルギー、がん(癌)への効果」も認められるようになっています。
そのDHAをかんたんに摂取できる食品のひとつにサバ缶があるということです。
手軽に摂取できる加工食品としてはお魚の缶詰が最高です。中でも、「さば水煮」「さば味噌煮」「さんま蒲焼」「いわし味付」などは、原料そのものにDHAが多く含まれています。缶汁の中にもDHAがたくさん含まれている
またサバ缶にはDHAだけでなくカルシウムやビタミンB12も多く含まれているそうです。
骨ごと食べられる水煮缶は生のサバに比べてカルシウムが43倍。ビタミンB12も水煮缶のほうが多い。
出典:価格.comテレビ紹介情報(プライムニュース イブニング 2018年6月26日(火)16:50~19:00 フジテレビ)
ダイエット効果(根拠は不明)だけでなく、健康にもよいことが知られるにつれサバ缶の人気は不動のものになっていったことが推測できます。
サバ缶が生産量でツナ缶を抜き魚缶日本一に
人気はまず生産量の増大を生み出しました。
日本缶詰びん詰レトルト食品協会のまとめでは、この10年間の生産数量をみると、ツナ缶がサバ缶などを抑え、魚の缶詰の代表格として君臨していた。ところが両者の差が徐々に縮まり2012年に僅差になり、14年にサバ缶がツナ缶を抜いた。デッドヒートの後、昨年はサバ缶がツナ缶に大きく差を付け、今や魚の缶詰を代表する
出典:ITmediaビジネス「サバ缶生産、ツナ抜き絶好調 健康志向追い風に需要拡大、値上げも」2018年8月23日
この人気をさらに後押ししたのがテレビの人気番組でした。
今回の品薄にもっとも影響したのがマツコ
今回2010年代で3回目の品薄状態が発生しているわけですが、その最大の要因が2017年12月5日に放送されたTBSのテレビ番組「マツコの知らない世界『サバ缶の世界』」のようです。
番組には全日本サバ連合会でサバジェンヌとして広報活動を行っている薬膳アテンダントの池田陽子氏が登場し、おすすめのサバ缶やアレンジ料理、サバ缶美容法などを披露しました。
これによりサバ缶の売れ行きは爆発的に拡大します。
マルハニチロの18年1~6月(販売)実績は前年同期比34%増。日本水産も18年4~6月期が87%増となり、7月の売上高は2倍に達する見通し
出典:ITmediaビジネス「サバ缶生産、ツナ抜き絶好調 健康志向追い風に需要拡大、値上げも」2018年8月23日
マルハニチロでは、ロングセラーのサバ缶「月花」シリーズの17年10月から半年間の売上が、前年同期比で157%に増加しているとのこと。最早サバ缶の生産が追いついておらず、全国の販売店ではサバ缶の品薄状態が続いているという。
その影響でしょうか。販売価格も上昇中です。
お値段も例年200円ほどのところ、(2018年10月)16日は400円。
サバ缶を巡っては先月、大手メーカーが値上げしたばかり。その理由は国産冷凍サバの輸出が増えたことで、原材料のサバが不足しているというもの。
出典:テレ朝news(2018年10月16日)
国内に在庫が潤沢にあれば値上げせずに済んだのでしょうが、品薄ではどうにもなりません。
地震でサバ缶が瞬く間に消える
今回の品薄にさらに拍車をかけたのが地震により喚起された全国的な非常食ニーズではないかと考えます。
サバ缶はそのまま美味しく食べられ長期保存できることから非常食としても従来から高いニーズがあったはずです。そのためか2018年9月6日に北海道胆振(いぶり)東部地震が発生してから10月16日までの約40日間、最寄りのスーパーでサバの水煮缶を目にすることはなくなりました。もしかしたらその間に入荷したのかもしれませんが、だとしたら一瞬ではけてしまったに違いありません。
事実10月16日にわが家は3缶購入しましたが、翌17日にはすべて売り切れていました。
救いはそのスーパーが良心的にも従来と変わらぬ190g一缶125円(税別)で販売してくれたことです。
残念なお知らせ(2019年3月4日追記)
上記商品は138円(税別)と約10%値上げされていました。ものみな上がる2019の春! 仕方ないのかもしれませんね。
まとめ
美容と健康でサバ缶が人気
異常気象で漁獲量が減少
品薄によって価格も上昇
EU参入で日本の漁獲量に影響
今後も手に入れにくい状況が続きそうなサバ缶。お目当てのブランドがある方は、店頭で見つけたら、重いからと面倒がらずこまめに買い足しておくのがよいようです。
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