「エアコンつけっぱなしがお得」になぜわが家は失敗したのか!?

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昨秋、新しいエアコンを設置してくださった工事の方は「夏の冷房はつけっぱなしがお得、うちもそうしている」とおっしゃいました。以前から同様の情報をSNS上で見かけていましたが「どうせ断熱効果の高いマンションでのこと、戸建ては違うでしょう」と疑っていたので、その点を質してみました。すると「うちも戸建て」とその方は太鼓判を押してくれたのでした。

そんなわけで今年の夏、わが家もやってみました「エアコンつけっぱ」。しかし、残念ながら思ったような効果を得ることができませんでした。その原因は何だったのか。これからチャレンジされる方のご参考にまで考察したいと思います。

 

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過去5年間と今年のデータ

まず、電気の使用料金と使用量、月平均気温の変化を見てみましょう。

 

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8月分の請求を2012年から2017年(今年)まで比較してみました。2017年は「使用期間7月12日~8月9日」までの29日間となっています。メーターの検針日によって換算日数が毎年異なるため、統計上確認できる2015年からは「29日分」として再計算しています。

青い棒グラフが使用料金です。消費税増税の影響を排除するため税抜料金で表示しています。1万4000円前後で推移し、2016年にいったん1万円レベルまで下がりましたが、2017年の夏はまた例年並みに戻りました。ただ料金単価が微妙に変化しているためこれだけで判断をくだすことはできません。

赤い棒グラフは使用量です。こちらがより正確な「エアコンつけっぱ」効果を示すデータです。残念ながら2015年からのデータしかありません。2016年をボトムに、2017年は増加に転じています。

使用料金も使用量も、ほぼ同様の推移を見せています。2016年は何があったのでしょう。

気象庁のホームページで7月(緑)と8月(紫)の各年の日平均気温を調べてみました。すると2016年7月の平均気温は25.4℃と、2007年に記録した24.4℃以来の涼しさでした。1ヵ月分の使用量の3分の2を7月が占めるため、その影響が大きく出たのですね。

気温によってエアコンの使用頻度は大きく変わる。どうやら2016年は「エアコンつけっぱ」効果の比較対象にはなりにくいようです。

 

2013年と2017年を比べてみると

下のグラフをご覧ください。①2017年8月の使用量に換算される9日前後までの平均気温はおそらく27℃に届けばよいほうでしょう。つまり平年に比べ使用量の増加要因はほとんどないと考えることができます。いったんこのことを頭の隅に記憶しておいてください。

 

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さて①2017年8月9日前後までの予想平均気温(紫)を見るとほぼ同レベルといえるのが2015年です。しかしこの年は7月の気温が2017年より約1℃低い。

一方使用量への影響がより大きい7月(緑)の平均気温を見ると、2017年とほぼ同レベルにあるのが②2013年です。8月の平均気温が高かったためおそらく使用量は2017年より多いでしょう。なぜなら先述のとおり今年の8月はそれほど気温が高くないからです。

ここでようやく本題です。「エアコンつけっぱ」をせっかく実行したのに③2017年8月分の使用料金の減少率が期待したほどではありませんでした。

 

エアコンをせっかく新調したのにこんなもの?

予想では④これくらいアグレッシブに節約できると期待していたのです。

 

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その根拠は昨年秋、エアコンを新調したからです。2階の広い部屋を18年前に購入設置した2台(木造6畳用)のエアコンで冷やしていたものを2016年春夏モデル1台に入れ替えました。

基本性能は

期間消費電力量         2741kwh
省エネ基準達成率    108%(寸法フリー:店頭表示ラベル5★満点中3★)
消費電力                  冷房    2890w(木造20~鉄筋30畳)

極標準的な冷房能力、省エネ能力の機種だと捉えています。

古い2台を省エネ性能を持つ新しい機種に入れ替えたのですから、「エアコンつけっぱ」でも当然、電力消費が減ると考えていたのです。

 

実施したエアコンつけっぱ方法

2017年7月12日から8月9日までの期間、つぎのような使用を試みました。

2017年

2階 リビング・ダイニング  2016年春夏モデル1台 27~28℃ 24時間つけっぱ
3階 寝室(木造7.5畳) 2004年春夏モデル1台 26~28℃ 24時間つけっぱ

2016年以前は

~2016年

2階 リビング・ダイニング  古い機種2台 25℃ 午後7時から午後12時までの5時間
3階 寝室(木造7.5畳) 2004年春夏モデル1台 26~27℃ 午後11時から翌午前7時までの8時間

ほか1階仕事場に2008年春夏モデル1台があり2016年以前のほうが使用時間は3割ほど長かったです。つまり電力を多く消費していました。

 

失敗の原因は何だったのか

ここまで状況を書き出してみて気づいたことがあります。

1日1回の電源オンオフでは差が少ない

「実施したエアコンつけっぱ方法」はいくら立ち上げ時の消費電力が大きいとはいえ1日1回程度ではその後1日の運転時間が短い分、24時間つけっぱの消費電力とさほど差がないのかもしれません。

つまり昨年と同じ機種であっても劇的なコストダウンは望めなかったのではないかということです。

では2階の新機種1台のアドバンテージをなぜ活かせなかったのか?

ペットのための5cmの隙間

じつは2階に愛猫の室内トイレを設置しています。ドアの構造上、猫用の出入窓をつけることができず、つねに5cmほど隙間を開けておかなくてはなりません。また西部劇のならず者のように勢いよく飛び込んでくることもあり、そうなると半開き状態になってしまいます。

冷気がだだもれ状態であったため2階のエアコンはかなりの頻度で運転モーターの音がなっていました。

安普請ゆえの断熱能力の弱さ

また当初からの懸念材料であったのですが、わが家の断熱能力の弱さがやはりネックとなったようです。壁材は軽量気泡コンクリートですが、特別に厚いわけではありません。窓を東南それぞれに大きくとってあるにもかかわらず二重サッシでも遮光カーテンでもなく、太陽の熱が容赦なく室内を温めます。

これらの要素が原因となり、思ったほどのコストダウンが得られなかったのではないでしょうか。

ちなみにエアコンの代表的なメーカーであるダイキンが興味深い検証結果を発表しています。

ワンルームマンションの場合

「日中9:00~18:00までの時間帯は、30分程度の外出であれば、エアコンを切るよりも「つけっぱなし」にする方が電気代が安く」
「30分を超える外出の場合には、エアコンの運転をOFFにした方が消費電力量は小さくなる」

出典:ダイキン 空気の調査隊「夏の節電 つけっぱなしがお得”という説は本当なのかを検証せよ!」 

つまり1日に何度もオンオフを繰り返すなら「つけっぱ」の方が省エネ効果が高いというものでした。ここで重要なことは

「何度もオンオフ」

これは前述の失敗の原因の一つである「1日1回の電源オンオフでは差が少ない」を裏付けるものです。

もしもあなたがエアコンの「つけっぱ」にチャレンジされるなら、ぜひこの点に注意し成否を見極めていただきたいと思います。

わが家は来夏はもう「つけっぱ」はしません。だって1日1回程度の電源オンオフですから。1回失敗しましたが、よい勉強になりました。

 

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